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シリーズ日本語の謎 「事実上」

2005/1/11

「事実上の夫婦」とは夫婦ではない。
それは生活を共にし、実際の夫婦となんら変わりの無い状態ではあるが、婚姻届を出していないことにより法律的には成り立たないことを指す。

例えば、携帯ショップの親子割引の申し込みで、「私たちは事実上の親子です!」と涙ながらに店員に訴えていたらどうだろう。
特別な理由があって血が繋がってはいないけれど、親子の絆は相当なものだ。と思いはしないだろうか。

ところがこの「事実上」は、使い方によっては究極の曖昧な日本語と化す。

例えば引退宣言。
とあるプロ野球選手が「来シーズンはテレビで試合を見ているかもしれません」と発言した場合、「事実上の引退宣言」と報道されてしまうのはあながち間違いではない。
「私は今シーズンで引退します」との発言を正式な引退宣言と取るのであれば、それを使わず同じ意味を含んでいるということで、「事実上」を足して「事実上の引退宣言」と報道する。

だが、テレビで来シーズンを見る理由が不振による解雇を予想した上での発言だったとしたらどうだろう。
本人には全く引退の気持ちは無かった場合、実際には「引退宣言」でもそれを迂回した「事実上の」とも違うのだ。


結果、報道で使われた「事実上」はただの「かも」程度の意味に成り下がってしまうことになる。
さらに「事実上の・・・宣言」の語尾に!?が付いた場合はさらにタチが悪くなり、まったくもって真意は読めない。

私は今まで幾度と無くこの「事実上」報道に苦い思いをさせられてきた。
憧れの選手の引退宣言しかり、好きな芸能人の結婚宣言、そして私の昇格。
もうこんなに曖昧で一喜一憂させる日本語は使わないで欲しい。

 

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